前作にあたる『DAY OF THE DEAD』(邦題:死霊のえじき)も公開初日の1回目の上映を観た。あれは大阪はキタ(=梅田周辺)の劇場で、当時の僕は大学生だった。1986年春のことである。

それから19年。今日、その久々の続編『LAND OF THE DEAD』(今回は、そのままの邦題)が日本公開となった。劇場は六本木で今や40歳を過ぎた僕だけど、やはり初回上映に足を運ぶのは同じ。しかし、どーして六本木ヒルズでこの映画が上映されるんだよ!?(←ちょっと嬉しいけど、普通に考えて小さな劇場で単館上映でしょ? みたいな) しかも、客は2〜3人かと思ってたら普通に満員で驚いたよ、ホント……(←六本木だけでしょうか、満員は??)。

というわけで、約20年もの間、待ちに待った『ゾンビ』(=リビング・デッド)の続編なんですが、個人的に「相当ダメなんじゃないか?」と不安視していたよりは良く、『ゾンビ』や監督のロメロに対する思い入れがない人にとって今の時代の一般的な映画として面白いかというと、多分あまり面白くない映画だと思います。(それでも、ちょっと派手なだけの映画版『バイオハザード』に較べれば観る価値のある映画だと思うのですが……)

そのあたりを理性的に説明しますと、まず明らかに予算が少ない。今時この映画に大きな投資をしないのは当然と言えば当然なんでしょうけど、予算の少なさが明らかに映画のスケール感をなくしています。役者も見せ場もすべてがこじんまり、薄暗いB級映画っぽさ満載です。

さらに、ジョージ・A・ロメロ監督が1968年に監督したシリーズ第1作『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(すでに37年!!)から延々と貫いているシリーズのルールやテーマを今回もきちんと守っているのが"古くささ"を感じさせます。あと、監督が歳をとった分、若い頃にあった"棘"みたいなもののどんがり具合がまぁるくなっちゃった印象も。

でも、それでもシリーズ最新作として、これはこれで全然アリだと思いました。低予算B級映画の中においては現代の同列の作品より優れていると思うし、これまでのシリーズを見続けた人にとっては本家本元の作品がちゃんと映画になったことが素晴らしい。ただ、今、旬な映画を観たい人にオススメできないだけ(笑)。

今見ると『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』はあまりにもクラシカルな映画ですし、『死霊のえじき』はすでに『ゾンビ』に較べれば駄作だと19年前に言われていたわけですし(僕は好きなんだけど)、今さら新作をあーだこうだ言っても……ね。『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』は新しいものを生み出した記念碑的作品であり、当時としてはショッキングな映画だった(が、今見て面白いわけではない)。ぞの続編『ゾンビ』は、時代と見事にマッチして全世界に衝撃を与えた。それだけのことかと。

もともと、その時代の空気を"ゾンビVS人間"という構図の中で風刺を込めて描いてきたシリーズの最新作なので、(今回、それができていないわけじゃないですが)たとえ低予算でももうちょっと毒のある皮肉っぽい、終末観漂う内容にしてほしかった気持ちはありますが、それはそれということで。

『ゾンビ』の話になると毎度テキスト量が増えちゃうので(苦笑)、今日はこのへんで……。何はともあれロメロ監督のシリーズ新作が世に出て良かった。

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