もうちょい

2007年3月13日
石持浅海著『月の扉』を読了。なんだか相当すごい結末がありそうな宣伝に乗せられて買ってしまった(笑)のだが、"本格ミステリー"とか"本格推理小説"というにはちょっと難ありな作品だった。

作品としてつまらないわけではない。でも、どっちかというとこれは「仕掛け本」である。ハイジャックを決行する人物を主人公としながら、ハイジャックされた飛行機内で起こった"密室殺人"の謎を、ハイジャック犯の指名した一般乗客が推理する……と、設定がやたらトリッキーな小説なのだ。(一般的な読者の方には、さらにもっと「どうよ?」と思われかねない動機が出てきたりするのだけど……。)

とにかく変わった小説である。その変わった設定や話運びで読者をちゃんと引き込み、たぶん最後まで本を読ませてしまう。それだけの力量があると思う。でも、読み終わって冷静に振り返るときに、果たしてこの小説は「面白かったー」とか「トリックに驚いた!!」とか感じるだろうか?

そんな複雑な気持ちにさせる小説だった。読後まで読者を騙せるとこまでいけば、もっと良いのにな〜。

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