贖罪とでもいうか

2007年8月25日
昨日までに上巻の終わりの方まで読んでいた宮部みゆきさんの最新刊『楽園』を、昨夜から今夜にかけて下巻終わりまで一気に読了。

最初は非常にゆったりとした物語の歩みで、上巻が終わる時点では「この話、どう展開させるんだろ?」と当惑していましたが、下巻に入ってどーんと展開が加速して、突如スタッと完結してしまう印象の作品でした。(だから下巻は途中で止められず、1日で読んでしまった!!)

深く追求できそうな事件があるのだけど、その事件そのものを描くよりも、『模倣犯』事件で(犯人を暴いたものの精神的に)深く傷ついたフリーライター前畑滋子の精神的復活(リハビリ)の物語を描くことに主眼がおかれているように僕は感じました。

広告やオビを見ると「『模倣犯』の続編!」的に見えるかもしれないけれど、その意気込みで読むとジャンルそのものが違う小説を読んでいるような気持ちになりそう。でも逆に、『模倣犯』を読まずに『楽園』を読むと、主人公である前畑滋子が何によってこれほど傷ついているのかが読みとれない=物語の前提を理解できない。という、ちょっと作品的な立ち位置のジレンマが、読み手を選ぶかも……。

というわけで、何はともあれ、まずは『模倣犯』を読んでください。そして、読み終わった後、「ところで、こんな大変な事件に関わった前畑滋子はこの後どうなってしまうのだろう?」と気になったところで『楽園』を読むのが良いと思われます。

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