ブライアン・フリーマン著『インモラル』を読了!

普通のサイコスリラーものかと思いきや、なんとも凝ったストーリー展開で、気分的には「ちょっとした旅をしてきたかのような読後感」(←誉め言葉)でした。

1年ほど前に起こった美少女の失踪事件が未解決なままに新たな失踪事件が起こり、彼女の来ていた服の血の付いた切れ端が発見される。単なる家出なのか猟奇殺人か? 彼女の死体は見つからぬまま、いくつもの状況証拠や彼女の家庭の事情が明らかになり……。

いわゆる「推理小説」ではありません。推理するための伏線は張られていないから。でも、ジェットコースター的なめまぐるしい顛末を予感させる言葉は、あちこちに散りばめられています。

普通に警察小説的な展開が続くのかと思いきや、突然、法廷小説の形式を取り、さらに数年後に話が飛ぶという、1冊の本の中で読むことは珍しい(ちょっと突飛でさえある)形を取っています。そして、そんな形式を取るにふさわしい展開の面白さが充分にあります。

感情を揺さぶるようなモノはないけれど、エンターテイメント作品として考えに考えて、計算しつくした"豪華詰め合わせ"といった作品で、とても良くできた本だと思いました。細かいツッコミどころはおいといて、十二分に楽しめました。

そんな"豪華詰め合わせ"感が、冒頭で述べたような読後感につながるのです。

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