備えることの必要性

2008年1月28日
高嶋哲夫著『M8(エムエイト)』を読了。神戸の震災を経験した主人公達が10年後に起こる東京直下型大地震にさまざまな形で立ち向かう物語だ。「M8」とは「マグニチュード8」を意味している。

この本を手に取ったとき最初に思ったのは、神戸を故郷とし、あの震災で知人を失った自分がこの本をちゃんと読めるのだろうかという不安だった。が、たまたま自分はあの震災の前年に転職のため東京に単身引っ越し、"その瞬間"を体験していない。自分が神戸の地に戻ったのは地下鉄が復旧した日だった。

『M8』では地震があらかじめある程度予測され準備ができていた状態で、東京の街がどのような状態になるのかを描いている。故に、酷いことになりながらもまだマシな展開だ。実際、予測と準備がされなかったら、もっと被害は大きくなる……ということが何度も文中で語られる。

客観視点の小説なのに、あたかもリアルタイムにニュースを見ているような空気感を感じるのは、やはり自分が神戸出身で現在は東京に住む人間だからなのだろうか。

いずれにせよ、いつくるかわからない(けど、決して来ないわけじゃない)地震について、この本は多少なりとも気持ちの準備をさせてくれる。

コメント