蟹工船と現代

2008年5月27日
先週の「週刊大極宮」(←大沢オフィスの週刊Webコンテンツ)にてS氏(←「エス氏」と書くと星新一っぽくなるよね)が書いていた『蟹工船(かにこうせん)』の話。

「今小林多喜二の『蟹工船』が脚光を浴び売れているそうです。時代の空気にあったということなのでしょうが」

これを読んで「へ〜え」と思っていくつかの書店を覗いてみると、事実、複数のお店で文庫売上ベスト10の中に『蟹工船』が入り、書棚には赤と黒の表紙が特徴の『蟹工船』がズラリと並んでいるではないか!! ホントにこんな売れてんのっ!? と、ビックリ。

書店に貼ってあった読売新聞の記事を読むと、「今年に入って“古典”としては異例の2万7000部を増刷、例年の5倍の勢いで売れている。過酷な労働の現場を描く昭和初期の名作が、『ワーキングプア』が社会問題となる平成の若者を中心に読まれている」のだそう。

平成の若者がこれを読んで自分や時代に重ねてるということ?

僕個人としては、小林多喜二がこの本を書いたことで起訴され(←国家の名誉を害した罪で)、やがては特高警察に逮捕されて激しい拷問を受けて獄中死したという話にこそ思うところが大きい。自分の考えを語ることが「国家への反逆」とされたのは、たった75年前の日本なのだ。

コメント